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めまい患者さんの八割以上に、くびこり、くび痛の症状があります。
頚はご存じのように、脳と全身とをつなぐ関所みたいなもので、その部分には自律神経や、全身から脳へ行く血管(頚動脈、椎骨脳底動脈など)が集中しています。
しかしながら、今日の「めまい学」の教科書レベルでは、頚の重
要性についてほとんど触れられていないのが現状です。
めまいの診察にあたる医師から、くびこり、くび痛について質問を受けている患者さんも、ほとんどいません。
頚とめまいの関係を理論付けるのは、目下は難しいことです。
ひとつには、これらの頚の神経が脳や耳に悪影響を及ぼしているとしての考え方もあり、逆にめまい・ふらつきの患者さんでは、自分の体のバランスを保つために無意識的に頚に力が入ってしまう結果とする考えもあります。
原因か結果か、ニワトリとタマゴの話は別にしても、頚の症状を楽にしてあげることによって、多くの患者さんの症状が非常に良くなります。
実際上、鍼灸院にかかっている人たちのなかには、めまいで悩む人が多くいます。
ひょっとして、患者さんは、医者以上に、頚を楽にすればめまいが良くなるということを、経験的に知っているのかも知れません。
パソコン時代になりますと、若い女性で目の疲れや長時間の悪い姿勢からくびこりが生じ、さらに、くびにまともに当たるクーラーも、悪いことをしているのでしょう。
夏場におけるめまいのひとつの原因として、新たに考えるべき問題と考えています。
リストラの時代、クビを大切にして下さい。