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体のバランス感覚が障害され、立っていられなくなったり、怖くて座り込んだり・・・。
いつも不意打ちで襲ってくる「めまい」は、日常生活に支障が出るだけでなく、不愉快で不安な気持ちにさせられる厄介な病気です。
基本的な症状は「平衡機能の障害」と説明されますが、原因や仕組みは今でもよく分かっていません。家庭医学書には「一時的」とも「反復する」ともあり、なかなか要領を得ません。
症状が治まった後も心は不安に揺れ動き、たまらず医師に相談しても、明快な答えは返ってこない・・・。特に初めて体験した人は、心配が尽きないことでしょう。とっさに「地震だ!」と錯覚し、やがて間違いに気付くと「脳に異変でも起きたのでは?」と不安になる人が多いはず。
ドスーン、グラグラとくる“本震”に、グラリ、ユラユラと続く“余震”。言われてみれば、地震とめまいのイメージはそっくりです。
「天井がグルグル回る」「まっすぐ歩けない」に始まり、「足が地に着かない」「体が地面に沈んでいく」「船に乗ってるみたい」まで、どれも大勢の患者さんたちの悩みに耳を傾け、勉強させてもらった内容です。症状が似ているだけではなく、めまいを考える上で参考になる点は多くあります。震度の違いはどうして生じるのか。縦揺れと横揺れは何が違うのか。
めまいが起こる際には、地震と同じような「エネルギーの暴発」が脳で起きているのではないか。最近はそんなことも考えています。
ある調査統計によると、日本人の十人に一人、米国では実に三人に一人が体験するとも言われるめまい。その謎めいた“震源地”を目指し、入り組んだ迷宮に飛び込むことにしましょう。